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【2024年最新版】国内外のNFT活用事例7選

2024-09-02

はじめに

NFT(Non-Fungible Token)とは、代替不可能なトークンであり、他のトークンとは異なる唯一無二の価値を持つデジタル資産です。NFTについてのイメージとして「投資目的」や「トレーディングカード」「ゲーム内アイテム」などのイメージを持っている方は少なくないと思われます。

しかし、最近では全国の地方自治体がその性質を活かして地方創生のために用いたり、アーティストやクリエイターがNFTを活用することで今までのNFTとはまた違った活用方法が生み出されています。
そこで今回は2024年のユニークなNFTの活用事例について紹介していきます。

ふるさと納税NFT


北海道滝川市ではふるさと納税の返礼品として「Vtuber」と「NFT」を組み合わせた『Mirea Sheltzs~滝川市ふるさと納税限定イラストNFT~』をリリースしています。

同じく、北海道上士幌町では、300機のドローンを用いた「クリスマスドローンショー2021 in上士幌」の様子を撮影し、NFTアートの返礼品としていました。

その他にも北海道余市町、大阪府太子町、京都府長岡京市なども10以上の自治体にて返礼品としてのNFTは活用されています。このNFTは、NFTアートとして地域の観光スポットやイベント、名産品などを取り込み、地域の魅力を発信することができます。
余市町がNFTアート第2弾を出品した際には、受付開始からわずか3分ほどで、222種類のすべてに寄付が集まりました。このことから、返礼品としてのNFTアートに対する注目はかなり高いと伺えます。

電子市民証NFT


石川県加賀市では、マイナンバーカードをカードリーダーへ通すだけで、e-加賀市民証NFTの確認ができる仕組みの運用を開始しました。この運用方法は「マイナンバーカードだけでNFT所有証明を可能とする仕組み」として全国初の取り組みになっています。

e-加賀市民証とは、NFT初心者や観光客向けに発行されており、市内の各店舗で割引サービスを受けることができます。さらに、有料版の購入者には温泉旅館のワーケーション割引や起業家育成プログラムへの無料参加、スタートアップVISAへの申請が可能になるなど、国家戦略特区の特例措置が受けられます。

その他にも2024年1月に発生した令和6年能登半島地震に対する支援が行える被災者支援デジタル市民証も存在し、NFTを最大限に活用した取り組みが行われています。

航空会社のNFT


航空会社のJALは2023年2月からNFT事業に取り組み、国内線の機内で配布されていた都道府県シールをモチーフにしたNFTを販売しています。同様にANAは独自マーケットプレイス「ANA GranWhale NFT MarketPlace」にて、ANA NFTコレクションの販売を行っています。NFTの内容としては航空写真家のデジタル写真やボーイング787初号機の特別塗装機、幻となったデザインをNFTとして販売しています。

海外でもエティハド航空というドバイを拠点とする航空会社でも独自のトークンをリリースし、所持者にはエティハド航空のシルバーステータスの付与や限定デジタルコミュニティへのアクセス権など様々な特典が付与されています。

顧客ロイヤルティ向上プログラム


博報堂とProofXは富士薬品が開催するイベントへの来場促進とアプリ新規会員登録を目的としたNFTクーポンを配信するキャンペーンを実施しました。
これは手元に残り続けるNFTの性質を活用することで、オンライン、オフラインを問わずリワード発行をおこなう事で顧客との継続的な繋がりを創出する狙いがあります。また、事業やブランドを横断して顧客の行動を可視化することによって顧客に親しみを感じてもらう狙いもあります。

音楽原盤権NFT


現代の音楽を聴く方法としてメジャーになっているのがストリーミングサービスです。毎月一定額を支払うことでサービス内の楽曲が聴き放題になるというサービスですが、この影響により楽曲は不動産のように中長期にわたって収益をもたらすようになりつつあります。その結果、定期的に収益が入ってくる反面、かつてのCD販売のように短期的に収益をもたらす事は難しくなってしまいました。この問題を解決するのが音楽原盤権NFTです。

音楽ファンは気に入った楽曲やアーティストのNFTを購入することにより、半永久的に当該楽曲が生み出した収益を受け取ることができ、アーティストはNFTによる短期的な収益を得ることができるというビジネスモデルです。既に日本でも「OIKOS MUSIC」というマーケットプレイスにて販売が行われており、2022年のサービス開始から4000近い音楽原盤権NFTの販売実績があります。

安全運転証明書


自動車のサブスクリプションサービスを展開している株式会社KINTOが、トヨタ自動車株式会社と連携し、安全運転と認定したドライバーに対して独自のNFT証明書を発行する実証実験が2024年6月から行われます。NFTを用いて「安全運転ドライバー」をブロックチェーン上に記録するのはモビリティ業界では初めての試みとなっています。

これはSBT(Soulbound Token)と呼ばれる他者への譲渡が不可能なNFTを用いて実施されます。この証明書によって、車両ではなくドライバーに紐づく安全運転の証明をすることが可能となります。

NFTコレクションから玩具へ


海外のPudgy Penguinsと呼ばれるNFTコレクションが大手小売業者とパートナーシップを拡大し、実店舗でNFTキャラクターのぬいぐるみの購入ができるようになりました。玩具ビジネスはNFTビジネスに多くの利益をもたらす可能性があり、NFTとしての価値だけではなく、Pudgy PenguinsのIPとしての価値を生み出しています。

まとめ

今回紹介した例は一部に過ぎず、日本だけでなく世界中でNFTを用いたビジネスやサービスが提供されています。NFTは唯一無二の価値を提供できるという特長があり、地方創生やエンターテインメントとの親和性が非常に高いです。証明書としての利用や、NFTの保有によって享受できるサービスなど、投資以外の目的でも大きな注目を集めています。

2021年以降、NFTの価値は投資対象としてよりも、今回紹介したようにNFTを購入・保持することで得られる付加価値に注目が集まるようになりました。これには、暗号資産市場の大きな下落が影響しています。

「クリプトウィンター」と呼ばれる暗号資産の衰退期が始まり、個人投資家たちの信頼を失ってしまいました。当時のNFTプロジェクトの多くにはサービスや特典がなく、2024年現在ではNFTプロジェクトの95%が市場価値を持たなくなったとも言われています。そのため、2021年の売り上げは誇大広告によるものだったとも言われています。

このような背景にも関わらず、2023年のNFT取引量は2022年と比較して445%増の6000万枚を記録しました。投資対象としてのNFTよりも、今回紹介させていただいた付加価値を求めたNFTの購入・保持が注目され、取引量は大きく伸び、市場は回復傾向にあると言われています。さらに、現在は「クリプトウィンター」を脱しつつあり、個人投資家が再び市場に参入し、取引金額が増加することが予想されます 。

このようにNFTビジネスは未だ発展途上であり、今後さらに多くの活用方法が生まれると考えられます。


筆者:次世代デジタル基盤開発事業部 速水 貴大
監修:次世代デジタル基盤開発事業部 鈴木 康男

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